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2007/10/22

障害者虐待防止法がないことによる狭間、措置が必要な場合

意思表示の明確ではない知的障害者(成人)が家庭内で親から虐待等を受けている場合、あるいはそのような懸念がある場合、高齢者や児童と比べて動きにくい。

児童ならば児童福祉法や児童虐待防止法で対処できる。高齢者なら高齢者虐待防止法など使える。
しかしもはや児童ではなく、しかし虐待はイヤだと他者に表明できない人については、対応したくとも後ろ盾になってくれる法律的根拠が無く、踏み込めない。
 

このような話は仮想で言っているのではなく、ときおり耳にする。当ブログへへいらっしゃる方々の中にも、経験者はいるのではないか。

知的障害の程度があまり重度ではない方が家族から虐待を受けていた際には、本人がここから出たいとの意思を確認できたので、周囲の支援者は動けた。

弁護士にも確認したのだが、成人の子どもが家を出たいと言うときにこれを引き留める理由は親には無い。成人の場合は扶養請求権と扶養義務の関係が想定されるけれど、しかし居住地等の制約ができるわけではないらしい。
ただしいっぽうで、支援者等の第三者が子を引き離す根拠もなかなか難しいので、その根拠をどう取り付けるかが問題といえば問題のようだ。
とはいえ、そのような整理をどうこうしている間にも本人に危険が生じているのであれば、どうこう言っていられないこともある。

さらに子どもの知的障害等が重度で意思を確認できない状況の場合は、誰がどのようにして判断したのかがどうしても問題となってしまうのだろう。

繰り返しになるが、児童であれば児童福祉法・児童虐待防止法などで対処する筋道がついている。
成人にはそれがない。

障害者虐待防止法が必要とされる所以である。

いずれにしても現行では、措置(知的障害者福祉法16条施設入所等)を含め、その前後で必要となる情報把握、事実確認、機関間連携に基づく各種サービス利用などについては、行政の前向きな理解と協力があると事態対処しやすい。というか、これが無くて民間だけで動こうとするととてもやりにくい。あるいは手段がない。“うーん、これは措置も含めて考えないといけないでしょうねえ”と言ってくれる行政担当者の、どんなに有り難いことか。

早期の障害者虐待防止法の制定を希望したい。通告義務や救済機関の設置とそれに至る手順を明記してほしい。
でも今のところ考えるのは、そのような狭間に生じる問題について、現場でどのようにすればよいのかを整理・共有しておくべきではないかとということだ。
“だって私たちではどうにもならないから”と手をこまねく、あるいは歯がみする人も日本には少なからず居ると思う。ちょっとたいへんだけどこういう手もあるんだよという話をもう少し共有できても良い。幾分riskyな方法も含めてだ。後ろ盾の法律が整備されていない以上、いくらかはエイヤと動かなければならないのは致し方のないことか。
 

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コメント

知的障害を持つ成人への虐待の問題は、本当に深刻だと思います。切迫した措置の必要なケースも確かに少なくないように感じます。

しかし一方で、知的障害者への施設内虐待の問題は、ほとんど手つかずと言っていいような状態です。児童養護施設などでの施設内虐待は、徐々に社会問題として注目されるようにもなり、専門家集団による運動も大きなものになりつつありますが、訴える力のほとんど無い知的障害者の入所している施設での虐待は、本当に発見も難しく、介入も困難であると感じました。措置された先で虐待が繰り返されるのでは、あまりにも悲惨です。

障害者虐待防止法は、おそらくは高齢者虐待防止法と同様に、施設内での虐待防止も目的とした法律になるのでしょうが、ぜひそれが実効性のあるものになるようにと願っています。ただ虐待防止法以前に、あの劣悪な施設基準などをなんとかしない限り、虐待を減らすことは難しいのかとも思いますが…。

投稿: afcp | 2007/10/22 21:22

afcpさん、早速のコメント有り難うございました。そうですね。児童でも容易ではないと思いますが、さらに知的障害者の入所施設で虐待あるいは侵害事態が起こった場合というのは、なかなか対応しにくいと思います。妙案をもっているわけではありません。私ではなく、私の周囲にいる知人が真摯に動くので、いろいろ学ばせてもらっている日々です。
また、施設基準の改善ならびに虐待防止法がやはり期待されるところです(って、突き放した言い方で情けないですが)。

投稿: ながわ | 2007/10/22 22:05

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