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2007/06/03

英国等の parenting を支える背景(その1)

先日、いったんうっかりと流したものを、修正して改めてエントリーする。
ぜんぜん余裕がないけれど、そんなこと言ってるといつ書けるかわからないので。
 
 
英国等他国でこれほどまでに parenting の活動(ではないね、これは生活/暮らしでしょう)が活発なのはどうしてなのか、そして裏返しに、日本がなぜここまで表立って語られないジャンルに居続けるのか、あれこれ文献を眺めるうち疑問に感じるようになったと、これまでも書いてきた。
「子育て支援」カテゴリー参照

おそらくそれはあちらからすれば当たり前の状況なのかもしれないが、今のところ私は率直に驚いており、それを好奇のエネルギーとして素直にあちこちを調べている。なのでもう少しこのまま騒いでいようと思う。

関係していそうなことを並べると、例えば次のようなことがある。
 

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1)地域移行と地域生活における社会基盤の整備が背景にはあるだろう。
2)ブレア政権において展開されたシュアスタート(Sure Start)事業が少なからず影響を与えているだろう。
3)知的障害に限らない障害がある人の子育て(parenting)についても相応の展開があるだろう。
4)児童福祉における家族への介入システムが、(対抗的な)結果として子育て支援を形成させたのではないか。
5)当事者団体あるいは当事者支援の活動が子育てをバックアップしている。
6)政府等、公的な認知を獲得した。
7)研究活動が活発である。
8)その他。
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記号として数字は振ったけど、順不同。どれが最重要ということはない(わからない)。

(1)について
そのような事情があるから、子育てなども話題になるのだろうと思うということなのだが、調べてみるとはっきりとした数字は見つかりにくい。たぶんそうだろう、ということ。
良い数字をお持ちの方、よろしかったらお教えください。

(2)について
シュアスタートについては以下のページなど。
Sure Start (Patient UK)
SureStart.gov.uk
また日本語でも検索すると、出てくる。

ブレア政権において1999年より始められた児童家庭福祉策で、14歳までのすべての子ども(障害児は16歳まで)とその親が、人生におけるベストなスタートを過ごすことを目的として設定されている。事業としては、早期教育や保育、家族支援など。障害のある親の記述を見ていると、この言葉も出てくるのは当然かとも思われるが、そのようにして、ニーズのある親・家庭が顕在化したのかもしれない。ただし、日本語のコメントとして、あまり障害領域には貢献していないとの指摘も見られる。

(3)について
これは今までも紹介してきたとおり。
政府のポータルサイトである Direct.gov.uk にもコーナーがあるし、障害がある親の子育てで調査報告書やシンポジウムも開催されている。障害がある親に関するHPもある。このような基盤があり、その上に知的障害がある親の子育て(というテーマ)も立ち上がりやすくなっているのではないかと思うのだが、どうだろうか。
この話題自体が、まだ日本ではあまりメジャーではないように思われる。もちろん「君の手がささやいている」(軽部潤子、講談社)(ろうの女性の生活)やテレビがのような媒体が取り上げるなどはあるにしても、社会政策でのまとまったテーマになることはないように思われる。

(4)について
これは後述の(5)とも連動するのだが、児童保護のシステムが親子を分離する場合があり、これに対抗するかたちでの諸活動が展開されるところもあったのではないか。これまでの論文では児童保護のワーカーと障害者支援のワーカーが対立的に機能して親が混乱するようなインタビュー結果を載せる文章も複数見られている。また児童保護裁判において、その過程に誤解がある場合などの対抗的行動として、親の advocates が資料提出したり弁明したりする場合もあるらしい。この advocates はその場で強弁するのが仕事というよりも、親御さんたちの妊娠前後からよりよい子育てを支援することをスタートとしており、出来れば親の分離に持ち込みたくないとの願いから活動するのだろう。しかし裁判になった場合には、これまでの経緯などもふまえ、知的障害者即子育て不適格者との短絡的判断が為されないよう、適正な情報提供に努めるように記載されている。
なお幾つかの研究論文では、裁判過程において裁判官等の判断に知的障害がある親に対する不適切なバイアスがあるとの指摘をするものが散見される。ただその証明がどうもはっきりしないので困っているのだけれど、いずれにしても、日本でもよくよく詰めていくべき部分であるように思われる。
 
 
長くなったので、続きは明日。
 

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