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2007/03/26

わかりやすい表現のための工夫

一昨日の続きのようなところもあるが(→「他人の文章」(2007/03/24)参照)、私たちの各文章にとっての「わかりやすさ」は3段階くらいあるような気がする。

 1)研究としてやっていることが明瞭であること
 2)研究の成果をわかりやすく提示すること
 3)成果を提示する文章がわかりやすいこと

うーん、今ひとつわかりにくいですね。でもblogの書き込みなのでご容赦いただくとして。
以下、この説明を少しだけした後に、もっぱら3のわかりやすさを得るための書籍について書く。
 

1は研究それ自体の問題で、これがヘンだと、あんたのやっていることは訳がわからんと言われる。テーマや方法の問題とも言える。
2は研究を業界内部の人はもちろん、業界以外の人にも伝えられるようにすることであり、同時に納得できる文章にすること。論旨の組み立てのレベルであり、またその際の論理性や説得力の問題か。
3はむしろ作文の技術とでも言えるもの。同じことを表現するにも、ひどくわかりにくく誤解を招く文章になることもあれば、とてもシンプルでわかりやすいこともある。これはテン(、)やマル(。)の打ち方、語順の工夫だけでもずいぶん違う。

今回の話は、もっぱら3に関わること。1や2以前に、3の段階でわかりにくい人もときどきいる。すると、もう読む気がしなくなり、中身の吟味に至らない。
例えば、一文が樋口一葉のように長い文章。長いだけで主張が明快で流麗ならば良いのかもしれないが、こういう場合は、書き出しと書き終わりが一貫していない場合も少なからずある。係り受けの関係が壊れている。結果、何を言いたいのかわからない。長いからその文だけ文構造がわかりにくくなる。

かくいう私も大した書き手ではない。特にテン(句点)はどうしてそこに打たれているのか理由がぜんぜんわからず、小学校時代の国語でも、テンの位置を答えさせる問題は当てずっぽうしかなかった。
大学生になって教員から文章を添削されても、どうして“ここ”ではなく“そこ”にテンを打ち直すのか、理解できなかった。

ところが、あるときに本多勝一の「日本語の作文技術」を読んで、テンやマルに意味があることを知り、また語順もわかりやすくするための工夫があることを知った。語順などどうやっても通じるのが日本語であると思いこんでいた私にとって、語順の違いが文章をわかりやすさに影響するとわかったのは、ずいぶんと意味があった。(とはいえ、この本をほんの一部しか読んでいないのだが)
それ以降、私はテンの打ち方を考えるようになったし、長い修飾語は文章の初めのほうに置くなどの語順検討もするようになった。一文が長いときには切るという技も憶えた。完璧に習得しているのではないにしても、少しは意識的にわかりやすい作文を心がけるようになったのは、自分にとって良いことだと思う。(だからといって、この文も含めた私の文がすべてわかりやすいかというと、そうでもないでしょうけどね)

日本語の作文技術(本多勝一、朝日新聞社出版局)

最近だと、藤沢晃治氏の本がわかりやすくて簡単に読める。

「分かりやすい文章」の技術(藤沢晃治、講談社ブルーバックス)

藤沢氏の本では本多氏の提示するポイントも組み込み、さらに自身のポイントも加えている。私も既に知っていた技術(ポイント)もあれば、これまであまり意識せず勉強になった部分もあった。深い思想云々はさておき、あるいは冒頭で示した3段階の1や2の段階は別として、誰でも習得できる技術としてのわかりやすさの工夫が示されている。
文章が平明すぎて軽んじられそうな懸念すらある本だけど、さらっと斜め読みしてでも確認しておくのがよいと思う。
また、このような工夫を必ずしなければならないということでもない。工夫の余地を理解した上で、敢えてわかりやすさではなく、スタイルを貫くこともあるかもしれない。文学的な文章とか。
でも、彼の言う実務文は、だいたいこんなもんだろうと思う。

なお、氏の本は他にもいろいろあるようだが、あまりたくさん読む必要はないように(個人的には)感じた。
 
 
追記。
私はこれまで、軽度の知的な障害のある人にとっても読めるような(easy-to-read)文章について、少しエントリーをしてきた。それとも重なる部分は幾分かあるように思う。少なくとも、これくらいの技術は最低限必要だろうという意味で。
で、いわゆる easy-to-read な文章の場合には、これに加えてオリジナルな工夫も必要となるように感じる。例えば、語句や事実提示の繰り返しになっても良いから具体性を維持するとか(通常は繰り返しを避ける)、指示代名詞をあまり濫用しないとか、また主張(伝える中身・情報)を絞り込むとか。
そのようなわかりやすさのポイントについて、相互比較するのも面白いかもしれない。
 

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