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2007/01/09

the Lifespan Respite Care Act 成立

アメリカ合衆国の the Lifespan Respite Care Act が上下両議院を通過し、ブッシュ大統領の署名も済んだのではないかと思います。両院を通ったのが昨年12月中の話のようです。
 
関連資料は以下の通り。

ALS forum の書き込み
レスパイトの中心的NPOであるARCHによる説明

ニュースとしては少し遅くなってしまったのですが、先日(1/6)未明、“お礼状を各議員等に送りましょう”というメールがそのARCHから来たので、情報のお裾分けというか、ご報告する次第。
 

ご参考までに、レスパイトの説明も2~3あげておきます。

レスパイトサービス(大辞林 第二版、Excite)
レスパイトサービス(廣瀬貴一)
障害児(者)家族へのレスパイトケアサービスの有用性に関する研究 ~サービス提供事業所への調査結果から見えるもの~(佐藤友子)

…わたしも幾つかあるんだけど、古いからアップロードしてません。けど、1~2くらいはHPに載せとこうかなあ。
…それにしても辞書に載ってるんだ、この言葉。びっくり。90年代初頭には障害関係の人でも「レスパイト?それって何?呼吸の話?」と聞いてきたくらいですのに(respite...respiratory:呼吸の、呼吸器官の)。
 
 
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さて、the Lifespan Respite Care Act です。
ここ半年ほど、ずっとこの法案通過を求める運動が繰り広げられ、各選出議員へのお願いをしようというメッセージやデモンストレーションを伝えるメールが、私のところにも何回か届いていました。

最近でこそあまり関わっていませんが、一頃は私もレスパイトの研究などしていました。上記のARCH(ノースカロライナ州)にも行ってきましたし、何人かと連れだって全米大会や世界大会などにも顔を出していました。日本で騒がれ始めたのが92年です。あの頃はトップのセミナーや会議でも「レスパイトかレスピットか」のようなことを真面目に議論していたんですから、おかしなものです。それからとても速い動きで日本国内に広がったように思います。
(註:日本でも80年代後半から独自の動きはありました。田中正博さんの活動とか)

その後、次第に日本ではレスパイトがそれのみで機能・サービスすることは少なくなっていきました。もともと草の根的に拡大していったサービスの動きでしたが、その後、国のホームヘルプ事業の緩和策によって比較的自由度の高いサービスが認知されるようになったこと、そしてそれがいわゆるパーソナルアシスタントサービスの考え方へと繋がって行くにつれ、当初課題となっていた「家族の一時休息かvs本人の社会参加」のような表面的対立が「どちらもでしょう」のように消化されていったからだと思います。(上記佐藤友子論文で指摘されているように、支援費制度でのサービスに組み込まれ見えなくなっていったという説明もあり得るかとは思います。しかし私はそれより前からすでにいろいろ始まっていたと考えています。)

ただ、だからといって日本でパーソナルアシスタントサービスが十分広がったかというと決してそうではないですし、もともともレスパイトの意味合いや必要性が減じられたかというとあまりそうでもないように思います。いずれにしても現在は、レスパイトという機能は多くの人に理解されるようになっているものの、事業としてはこれ単独で提供されるようなことはなくなってきました。
なんというか、発展的解消の側面もありますけど、他方では類似事業との合理化という側面もあったのでしょう。どちらもあり。

これに対して、アメリカ合衆国では各州での事業は引き続き展開されているようです。以前から連邦レベルで児童虐待や高齢者介護ならびに障害児者支援を包括するかたちでのレスパイトサービスが一部法制化され、補助事業化していたからだと思われます(→TCCA;Temporary Child Care Act)。ARCHは各地のレスパイト事業機関を束ねるNPO、利益代弁者というところです。

それで今回の lifespan act というのがこれまでの法制化部分と何が違うのか、私はまだちゃんと見ていないのですが、たぶん、サービス保障の範囲拡大なのかしらと思います。また時間に余裕ができたら見てみます。

さてさて、ふたたび国内の話に戻ります。
日本での障害児介護の多くを担うのが母親であることはあまり変わっていないように思われます。しかし幾らかは変わってきました。すなわち80年代以降、一般的な女性・母親の機能変化、態度変化やいわゆる母親役割の“個人化過程”の影響を受けて、日本のお母さんも少しオープン(といえばよいのか?)になり、子どもも大切、自分も大切、と言えるようになってきたように感じられます。
でも遍くどこでもそうかと言えば決してそうではありません。先日も千葉県内の養護学校(今後は特別支援学校)の教諭からお誘いを受けて、お母さん方が子どもの“手を離す”ことの意味を話す機会に参加したところです。そこで私は「きれいになろうよ、おかあちゃん」という締めくくりをしました。
しかしまだまだ相互にバインドされる(過剰にという意味)ことは少なくないのかも知れません。

レスパイトという言葉とサービスはひとまず日本のトップからは引き下がりましたが、今はもっと微妙なかたちで現状把握をするべきなのかも知れない。
そんなことをUSから来たメールを受けて考えたのでした。
 

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