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2006/12/08

消費者被害に関する支援者研修(一般職員対象)

愛知県知的障害者福祉協会の年次大会である「第7回愛知県知的障害者関係施設職員研究大会」の第5分科会という形式で、県内職員に対する消費者トラブルに関する研修会を行う(12月5日、愛知県豊橋市)。このような機会の場所を提供くださった愛知県知的障害者福祉協会のみなさんには感謝申し上げる。

時間的に制限された条件だったので、プログラムを絞って組む。

 ①概論
 ②法律的な知識提供
 ③弁護士の対処手順紹介
 ④事例の検討
 ⑤質疑応答

の流れで午前と午後を使う。終日、2名の弁護士にお付き合いいただけたというのは、かなり有り難いことと思う。普段はどうして良いかわからない問題でも、かみ砕いて情報提供していくと、あれこれ関心が沸いてくるものだ。とりわけ③は別名“弁護士の使い方”と称する講義内容であり(これは弁護士が自らそう言ってたんで)、こんなことまで弁護士に聞いていいのかしらという懸念を少なくすることに役立ったのではないかと思う。
そのような状況になると法律の専門家に聞きたいことは山と出てくる。今回のプログラムはさしずめ“そのような状況”であったらしく、研修後に実は質問したかったのだという声をいろいろ聞くこととなった。してやったりの思いもある。

事例検討は少し工夫した。事例は事実に基づくが、多少構成してフィクションにしたように思う。典型的にわかりやすい例ではなく、むしろ二つの判断のどっちに転ぶか境界のような例にしてもらった。例えばこの人の場合は“意思無能力”適用を検討するのがちょっとたいへんかもしれないけど、場合によっては使うかもしれないね、のような。典型例の紹介だとわかりやすくなるけれども、他例への適用は困難になる。境界例は理解が難しいけれど理解してしまえばそこからあれこれ引き出せる。そういう意味では今回提出した事例は、少しアドバンス的であったかも知れない。

またこの事例については、予め考えるべきポイントを整理し、幾つかの点について「弁護士として執るべき対処」と「支援者として対処すべき事項」を並行して表に整理することによって比較提示した。これを事例検討に従って順番に示していったわけだが、この際にプロジェクター担当者が検討の流れに従って少しずつポイントをプロジェクターに提示してくれたのは有り難かった。

消費トラブルにおける「支援の相」(→図と説明はこちらを参照)に示したように、法律関係者と生活支援者は互いに相補的に、しかし常時何らかのかたちで関わり合う必要がある。これは支援の相が異なると関与の度合いは違ってくるのだが、しかしいずれの時期(相)にあっても互いが協力し合っていけることが重要であることを表現している。私はこのような消費トラブル事態についても、また成年後見の適用についても、法律関係者と生活支援者が相互に共同して取り組むことが知的障害・発達障害のある人にとってたいへん重要な態度/枠組み/パラダイムであると考えているので、具体的な事例として具現化できたのは興味深いことだった。

ただし時間が不十分でフロアの発言を汲み取りきれなかったことや、支援者と本人の事前の関係作りの重要性について言及できなかったことなどは残念だった。

このような消費トラブルの対処と支援に取り組むようになってから常々気にしているのは、“気づき”ならびに“問題としての具現化”であった。このところ、他の問題に少し納得がいってきたところで、次第にこの“気づき”をきちんと整理できていないことが気になってきている。知的障害・発達障害などの支援職がいる場所では、気づきが出来るところ(機関)と出来にくいところ(機関)がある。これの濃淡をどう考えたらよいか、突き詰めてみたい。気づきにくい場所がどこであるのかはある程度わかっている。しかし、それで止む無しとして進めるのか、それともそれは良くないこととして支援システムを提案するのかで、少し話は違ってくる。
この辺りをもう少し考えたい。たぶん、確認的な意味も含めて調査をした方が良いのだろう。

それから、有効なネットワーク形成にはまだ達していない。いつまでもこのような取り組みを漫然としていくのではなく、いずれはいろんな人が自発的に支援体制が組めるような流れを作る必要があると思う。何しろ私たち関東組と東海組が一堂に会することができるのは、研究助成があってのことだ。私の場合はあと次年度1年で終わる。この間に何らかの結論を出す必要がある。しかしまだ「基幹的」支援者が現場最前線と弁護士会とをつなぐ有用なノード(node)としての位置を確立していない。もう一息、形を作っていく必要がある。そうじゃないと今はまだ失速する。関係者一同が理解のあるうちに、ここまでは何とかしたいと思う。
 
 

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