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2006/11/24

growth-attenuation treatment (その5)

本件について、これまでのエントリーは以下の通り。
 →重度発達障害児の成長を止める“療法”(2006/11/04)
 →growth-attenuation treatment 追記 (2006/11/07)
 →growth-attenuation treatment(その3)(2006/11/16)
 →growth-attenuation treatment(その4)(2006/11/23)

原文の最終節として、倫理的問題の議論(THE ETHICAL DEBATE)があるので、これを紹介する。他のエントリーについても言えることだが、私が書いているのはほぼ自分のためのメモのようなものなので、関心のある方は原文をご参照願いたい。

冒頭はなんだか defensive な議論から始まるが、これは飛ばす。そんなに力を入れて言わなくても良いだろうにというのが率直な感想。むしろ書かないほうが本題に直接関われるから良い気がする。何でこんな言い訳めいたことを。査読者からの注文か?
(原文を読んだ人の中には、私がここを省くのは不適切と考える人もいるかもしれない。それはまたコメントいただければと思う。私は、正当性をそこと関連づけるのは無理があると感じている。)

次に著者らは、このような議論はしかるべき機関の検討を経て行うべきであり、著者らも倫理委員会を通したということに言及している。更に別の部分で、フォローアップをきちんと行っていくべきであるとも言っている。

それで中身に入っていく。

本件の倫理的問題は、メリットとデメリットという観点から考えるというスタイルで行われる。

メリットとして挙げるのは、小さい方が移動もしやすく世話もされ易いという点。そして、これは親や周囲の利益だと思うかもしれないが、本人にとっても移動や世話がされやすいのは利益なのだと主張する。
また、本人利益と親・介護者の利益に相反性があるかどうかは明らかではないとしている(not appear to be a conflict between the interests of the parents and the interests of the child)。

次にデメリットとしては、前述(その4参照)のような副作用、とりわけ血栓症の問題を挙げている。しかしこれは同様のリスクを持つ治療(生理コントロールや避妊)におけるリスクを過度に越えるものではないとして排斥する。

これらを踏まえた上で、著者らは次のような主張を行う。以下、最後の辺りの2パラグラフについては原文とその日本語訳(ざくっと直しただけなのであまり正確ではない)を併置しておく。原文も出すのは、私が意図的に曲解したと思われたくないからだ。

Can one imagine harm to this population from simply being small? Height and normal stature clearly have social value for most individuals. Being taller has been associated with enhanced social stature, greater pay, greater success in attracting a mate, and other social benefits. However, a nonambulatory, severely impaired child is not someone who will experience these benefits of tall stature and therefore will not suffer their loss if kept short. For an individual who will never be capable of holding a job, establishing a romantic relationship, or interacting as an adult, it is hard to imagine how being smaller would be socially disadvantageous.
単に小さいからということで害になると言えるだろうか? 高身長あるいは普通の背格好については明らかに社会的価値を認識されているが、今回の子どものように、歩けず重度の障害のある子どもの場合には、そのような利益とは無関係である。仕事にも就かないしロマンスも経験しない。大人としての関係も持たないだろう。小さくても社会的不利益を被るとは考えにくい。
One might argue that being smaller might alter the way others interact with an older disabled person, perhaps tending to treat that person as a child instead of an adult. Whereas this might be an important issue for a shortstatured adult who is capable of normal adult interactions, it is unlikely that such "infantilization" harms a person whose mental capacity will always remain that of a young child. In fact, for a person with a developmental age of an infant, smaller stature may actually constitute an advantage because others probably would be more likely to interact in ways that are more appropriate to that person's developmental age.
また小さい(低身長)ことで子ども扱いされるという懸念もあるが、ずっと小さい子どものままの知的能力である人が、そのような子ども扱いによって不利益が生じることはないだろう。実際、そのように発達年齢の小さい子どもで身体も小さい人は、それによって利益を得るだろう。なぜなら、他者はその人の発達年齢に合った、より適切な関わり方をするだろうから。

 
このような主張を行ったのち、著者らは今回の処置が適切であったと結論づけている。紹介終わり。
 
長くなったので、感想などは明日出します。23時にセットしました。

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