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2006/09/04

コミュニティフレンド説明会

これまで連載で書いていた「成年後見とコミュニティフレンド(6)」の中で紹介したとおり、9月3日に顔合わせの会を行った。
(連載全体についてはこちらを参照

当初どれほど集まるかと心配したが、PACガーディアンズ理事もしくは千葉県の研究助成に基づき事業委託契約を結ぶ組織(各地域の育成会や支援団体等)が中心となり、コミュニティフレンド(以下CF)の候補者と、その利用者のペアを見つけてきてくれる(註1)。その数なんと7ペア。他に今後成っても良いというCF候補者も2名参加。さらに成り手は居そうだとのことで、もう少し増えそうだ。

当日の次第は以下の通り。

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次第案

1.理事長挨拶
2.コミュニティーフレンドの自己紹介
3.コミュニティーフレンドとして必要なこと
4.コミュニティーフレンド事業の確認・説明
5.事務説明
  手続き(契約、登録、保険、支払い、報告、
  研修受講、総括)
6.質疑応答、意見交換
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理事長挨拶のあと、CFの概念や基本的な業務、PACガーディアンズとの関係、試行事業としての取り組み、今後のスケジュールについて等を説明。それから事務的な内容も説明。登録書、契約書、保険関係など。保険はもう少し時間がかかりそうだが、ワーキンググループのほうで詰めてもらっている。
契約関係の持ち方についてはまだもう少し整理する必要がありそうだ。ただ、もちろん個人としての良識を持って利用者とは関わっていただくが、連載の中で触れたように、難しいことはPACガーディアンズが対処できるようにしておく。

これらをざっと通した後で質疑応答や、CFの方々からのコメントや抱負のようなことを語っていただく。質疑応答では、契約の内容やお金のやりとりなど、基本的なところで手が上がる。あれこれ話し合っていたつもりだが、それにしては抜けていることも少なくない。
例えば外出した場合(CFは特に外出するかしないかは問わない)、喫茶店のお茶代などは割り勘かどうかを確認される。CFは友だち関係が基本なので、やはりここは割り勘原則というか、自分の費用は自分持ち。そこまでは良いが、では業務規約として整理したシートに明記するかどうか。最初から細かく縛ってもいけないと思われるいっぽうで、記載されることで安心する利用者もいるとの意見があり、原則扱いで書き入れておくことにする。またお邪魔した際に出されたお茶も飲めないというのも付き合い方としてはぎこちないので、そのへんは各自の裁量でやっていただく(註2)。今後いろんなパタンの利用-提供関係が出てきたらまた何か考えなければならないかもしれないけれど、少なくとも今は試行事業として創りあげていくプロセスなのだから、先ずは動かして決めていくことにしたい。

わかりにくくなったときに戻っていくところは、“だって友だちなんだから”だ。
 
 
これが自然な“出会い”でないところは承知している。しかし障害のある利用者がこれから地域で暮らして行くに当たって、友だちや新しい出会いが乏しくなりがちなことも否めない。それを先ずはカバーしていってみたらどうなるか、という試みとしても考えられる。そのうえで本システムに反発して「私はこんな関係じゃなくていいし費用も要らないから普通に友だちづきあいするよ」という人が出てくるのであれば、それはそれで良いと思う。そんな関係がもしも勝手に広がっていってくれるのならば、望外の喜びというところだろう。

いろんなコメントがあった。以下、いずれも各CFからの発言である。

●施設での職員と利用者という関係に物足りなさを感じ、それ以外の付き合いをしたいという方、
●やはり施設での限界を感じてを辞めたが、地域での関わり合いのあり方を考えたいという方、
●会社のボランティア休暇制度を使って活動していた経験があり、そのときの関係をCFという仕組みを通じてやっていきたいという方、
●まだペアになる方とはこれから会うので、新しい出会いにドキドキしている方、
●ちょうどこういう関係があったらいいなと思っていたところだったので手を挙げたという方、
などなど。

思ったよりも趣旨に賛同していただいている人がいるのだなと感じ、嬉しい驚きだった。

また各利用者とCFの“これから”は、それぞれに独自のストーリーが出来そうで、こちらももっとみなさんの話を聞いてみたいと思えた。佐藤さん(理事長)と話をして、助成研究事業の一環として、適当な時点で各自に対するインタビューをしてみてはどうかということになりそうであり、楽しみがひとつ増えた。

 
 
ただこのようにしていくと、後見との連携の中でのCFの位置づけという色彩が多様になってくることにも気付かされる。つまり、(ア)後見との関連の中でCFを位置づけるやり方と、それから(イ)“まちの中のともだち”であることを強く出して、それ以上には求めない考え方だ。
軌道修正し、あくまでも成年後見との関連の中で仕組みを作るべきとの考えもあるだろうし、これはこれで良いのではないかとの考えもあるだろう。いい加減だけれども、ひとまず私は(ア)(イ)両方を見据えていきたいという気持ちでいる。

後見との連携の中でというのは、CFからいずれは後見人になって欲しいということを強要するものではない。先の連載の中で書いたように、必要な埋めるべき部分としてCFが位置づけられることがまずは必要だと考えている(→連載(7)図2参照)。CFには、それ自身として他に代え難い意義がある。ただしそのような位置づけを担うためには、少なくとも権利擁護的なセンスを積んでいっていただくことで自発的に利用者のそのような部分を意識してもらえるようにならなければ、十分ではない。もちろん“そうなりなさい”と言ってなれるものではない。だから、今後の研修への参加をお願いしていくことが必要なのではないかと思う。あるいは、今後のやりとりの中で少しずつ育んでいっていただきたいし、私たちバックアップ組織(PACガーディアンズ)がそのような省察機会を提供していきたいものだと思う。生活支援に関わる者にとって、権利擁護的なセンスは、そのような名称をことさらに振りかざさなくとも必要なことなのだから。

またいっぽうで、上記のようなCFのコメント(●のコメント)にもあるように、もともと地域の中で友だちとして付き合いをしてみたいというに人は居たのだと思う。それがたまたま今回、呼びかけがあったのでかたちになった(註3)。
またさらにアイディアを広げるならば、より年代的に近い関係の中で、あまり強い責任を持たせず、シンプルに友だちづきあいを媒介するシステム提案(イのような)もあり得るのだろう。実際、そのような趣旨なのであれば自分の子ども(たぶん十代なのでしょう)がCFに関心を持っていたのだがとおっしゃる方もいらした。海外にはこのようなイメージとしてCFを媒介する団体ある(というかこちらのイメージのほうが基本だろう)(註4)。

いずれにしてもこのような需要があるのであれば、これはこれで育てていっても良いのではないという気持ちでいる。そして(ア)(イ)の二重構造になるなったとしても自然な仕組み作りなのではないか。あまり無理してもいけない。ただしどっちでも良いのではなく、それぞれに欲しい。

視点として、その人を総合的に見守っていく、という姿勢が有ればよいのではないか。
 
 
…おや、捕らぬ狸ではないけれど、まだ先の話をダラダラと、ちょっと脱線したか。
脚下照顧。まずは今の仕組みを動かすところからやらなければ。

今後は、今回ペアリングを世話してくれた理事を媒介に、活動を始めていただくことになる。そして何らかのかたちで情報提供・報告をお願いしていく。その中でおそらくは、個人的な情報をどこまで扱うのか?などの課題が出てくるのではないかと考えている。
また、関係を深めるプロセスであるとか、私たちバックアップ組織がどのように関わっていくのかに関するあり方だとか、いろいろ調整していくべきテーマが出てくるはずだ。今後はそれらを定期・不定期の報告や、私たちとのコミュニケーション(これは私たちからも積極的にやっていく)によって密に作っていくべき部分である。
希望もあり、クローズドなCFメンバーのMLも設置することになった。

それらのことは、また適当な時期に書き込みたい。
 
 
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1)
いずれはCF個人での申込み、利用希望者個人での申込みも受けられるようにしていくが、今回は試行事業の初回でもあり、予めマッチングの出来ている方々のペアを作ってもらった。しかしそれでも既に付き合いのあるペア、これから顔を合わせるペアなど多彩である。

2)
公的なヘルパーの場合は業務上の規則として飲んではいけない事業所もあり、それはそれで故有ることなのかもしれない。私たちの場合は、ひとまずはそこまで考えない。

3)
上記の方々の多くが、たぶん謝金が無くとも希望されていたかも知れない。あるいはもう少し安くても(実際、そのように、今回の謝金案が自分には高いとおっしゃる方もいた)。ただし継続的な関係を今後も持つためには有償前提のシステムも必要なのではないかと考えている。どうだろうか。

4)
あるいは、いわゆるBBS運動(Big Brothers and Sisters Movements)のようなかたちを連想される人もいるだろうか。うーん、その辺は私にはわかりませんが、仕組みとしては似ていても、ちょっと違うかなと思っています。こちらは個別基本であり(というかそれしか無く)、そもそもまだ小規模なので。それから、教育的な意図が無い。あくまで支援的な役割。

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コメント

日曜日は一日お疲れ様でした。この研究会は楽しみですねえ。これからも、よろしくお願いしますね。
 ところで昨日の会合は、説明会だっけ研究会だっけ。どっちでもいいんだけど(笑)。

投稿: satosho | 2006/09/04 23:20

いろいろとお疲れ様です。
説明会&第1回研究会ということにすれば良いのかなと思っています。説明から入りましたけど次第に検討も出来ましたし(^-^;;

投稿: ながわ | 2006/09/04 23:36

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