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2006/08/02

生活困窮者を対象とした家計管理指導

昨日は「多重債務者問題からみた社会福祉のあり方研究会」に参加。昨年からか?ずっと参加している。今はメインとして、生活困窮者等の支援プログラムに関してと、知的障害者等の支援についてと、それぞれの方向で検討を進める流れになっている。

それで今回は私のほうからは、先日の愛知県での支援者向け研修会の報告、ならびに知的障害者の事例報告というか、お金の話も含めた支援の様子についてビデオで紹介。まあそういうのは今までも紹介しているので、省略する。

もうひとつは、生活困窮者等を対象とする家計管理指導の実施報告。難しいところかと思われるが、無理のないプログラム実施に留意して参加者を増やしつつある。今回はこれを少し記述する。

発表者でありプログラムの実施者である方々(ライフマネー研究会)は、「多重債務者問題からみた社会福祉のあり方研究会」にも属している実務家、教員等である。ライフマネーというのは、ライフラインとしてのお金を指している、とのこと。
対象は生活困窮者等で、1回に数名らしい。現在は某NPO法人の主催というかたちで展開している。1施行が2回の会で構成されており、参加者は1回目に顔合わせから自己収入の管理手順を学び、2回目(1ヶ月ほど後)でその成果の確認等を行う流れ。

詳細については改めてどこかできちんと書いた方が良いかもしれないし、また実施者からいずれ報告書など出来ると思うが、今回は簡単に。毎度わかりにくくて申し訳ないけど、書く時間もないもので…

いわゆる“封筒管理”の方法をご存じだろうか。1ヶ月分のお金を幾つかの封筒に分けて管理していく方法だ。これを使っている。しかしこれを参加者にやってもらうことを、とても丁寧に取り組んでいる。ただ封筒で管理しなさいよ、ではなく、参加するプロセスを大事にしている。基盤には金銭管理カウンセリングの考え方があるようだ(欧米等では展開されているが、日本ではまだこれからの取り組みと思われる)。
参加者の自己評価に留意する。また参加する感覚を大事にする。無理のない目標設定により、肯定的な実施を心がける。

使うテキストはルビを振っておく。集金袋のように封筒の表には毎月の記録が付けられるようになっているのだが、これを会のほうで準備した様式を使い、参加者が自分で切り取り、シールを貼って作成する。シール等も会の手作りなのだが、綺麗に色分けされておりわかりやすい。簡単な作業だが、これをみんなで楽しんで行うことで、抵抗感を無くし、参加する態度を形成できるのではないか。
封筒の区分は封筒管理の基本に準じ、必ず出て行くお金(住居費、水光熱費、等)の封筒と、食費や日用品費等の封筒にわかれ、さらに後者は1週間ごとの封筒に仕分けされる。つまり参加者は、1つ目の封筒については黙って支払い(もしくは銀行の自動支払い)、1週間ごとの封筒をやりくりしていけばよいことになる。参加者はこのような作業をしていくことによって、これまで上手くできなかった支出整理を見渡すことが出来、顔が明るくなるという。1回目の会ではこの整理を、各参加者にほぼつきっきりでやっていくことになる。
2回目は結果報告。いくらかの残額が出たものもおり、これを伝えたいと積極的に参加する者も居たという。他の者についても、川柳を作ったりしながら結果を振り返り、また目標設定をしていく時間となるようだ。この際にも常に参加者の発言をリフレーミングし、ポジティブに返していくことを心がけているようだった。

もちろん家計をきちんと管理していくことも大切かもしれないが、あまりきちんとさせすぎると失敗を気にすることになる。無理のない目標で、継続をしていくことに意を用いる。参加者はやはり自己評価が低くなっている人もいるので、肯定的に対応し、将来の暮らしへ繋げていくように思える。1回目に封筒管理を導入することで顔が明るくなる人が居ると書いたが、それだけよくわからないまま日々を暮らしていつの間にかお金が無くなる生活だった人もいるのかもしれない。2回目には身だしなみに気を遣い、きれいにしてくる人も居たとのこと。

またこれらの対応は、管理方法が出来たね、じゃあお終いということにはならないように感じる。講師と繋がっている感覚も大切なのではないか。その意味では、頭で理解して処理していくというよりも、心で繋がって続けていく部分もあるように思える。だから同じ会に何度でも来てもらっても良いのかもしれない。

この会には、対象者を日常的に支援する支援者も参加することがあるらしい。彼らにとってもこのようなプログラムは新鮮であるらしく、ウチでもこれを導入したいという人もいるようだ。先にも書いたが、この領域はなかなか継続的な家計管理支援までフォローされないで来ていたのかもしれない。

もちろん、支援の難しい人もいるだろうし、そう上手く行かない場面もあるだろう。問題が極めて複雑な事情の人もいるだろうし。しかし出来るところからひとつずつ取り組みを進めていくことが必要な領域と思われた。

今度開催される回については、私も見学させてもらえることになった。楽しみにしている。

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コメント

蛇足ながら、研究会の会場となった神田の街は、とても消費者金融の店が多い。ビルの至る所に看板がある。また闇金の類も多そうで、立て看板を持って立っているおっさんも駅周辺によく見かける。
なぜこんなに多いのかはよくわからない。誰か知っている人が居たら教えて欲しい。ひとつにはバックにある銀行(地銀の東京支店なども含めて)が多い、というのはあるかもしれないが。
このところ騒がれている、消費者金融等の上限金利引き下げの影響からか、消費者金融が整理されて来つつあるとの話を聞いた。その分だけ、やはり大資本バックの消費者金融と、裏に回る闇金とに二極分化しつつあるのかもしれない。予め指摘されていたことであるが、その変化の兆しを如実に感じさせてくれる駅周辺だった。
ついでに書いておくと、個人的には引き下げる方向で賛成。しかし並行して困窮者への支援策がきちんと採られなければ、問題を見え無くさせるだけになるし、反対者からはそれ見たことかと言われる。この後がむしろ重要なのだと言うことを、たぶん関係者も十分理解していると思うが…。

投稿: ながわ | 2006/08/02 05:02

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