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2006/07/17

消費被害・トラブルの基幹的支援者養成研修会

7月13日、愛知県弁護士会館にて、「知的障害者・発達障害者の支援者対象平成18年度第1回消費者被害・トラブル対応のための基幹的支援者養成研修会」を開催。受講者12名、講師が弁護士や研究者という設定で、1日日程の開催。
プログラムについてはこちらを参照(pdf)。
→また本件準備の様子についてはこちらを参照。

充実した会になったと思う。受講者の反応と感想も良好だった。

午前中にテーマの概説と基礎知識の提供を行い、午後に弁護士の対応手順を確認、事例を検討。最後に受講者による演習。

概説はこれまでの各地での活動、調査結果についてかいつまんで紹介。私がアンケートをお願いしたものだから、持ち時間を削ってしまった。すいません。

弁護士の講義1は基礎的な関連法規など。契約の有効・無効や判断力の不足、適合性の問題など、基本的なことを説明すると共に、愛知県や名古屋市の関連条例をどんなふうに使っていけばよいかの紹介。消費被害やトラブルといった、これまでは“仕方のないこと”だったかもしれない問題への“入り込み方”を提示できなのではないか。

弁護士の講義2は、こうした問題に弁護士がどう取り組むのか、その“手口”(失礼)というのか、考え方などを提示してもらう。まずゲストの弁護士から、現在取り組んでいるリフォーム被害に関する訴訟の経緯と取り組みなどを具体的に説明。これ以上の支払いをしないというところまではできても、払ったお金を取り返すのは容易ではないと聞くが、この訴訟では7~8割を取り返すところまでいっているとのこと。可能な取り組み例を積み上げていっていただきたい。
次に講師となっている弁護士から、訴訟に依らない弁護士の活動をひとつひとつ説明。その後に、予め参加者から提出してもらっていた消費トラブル事例へのコメントを通じて、弁護士としての対処方略や発想法、態度を学ぶ。参加者からの質問や発言などもしっかり時間を確保できたので、トラブル救済だけではなく、生活の支援への繋がりについても話題に出来たのは望外の成果。と同時に、救済と支援の両視点を持っている弁護士の有り難みを感じる。


研修会の締めくくりとして、演習を行う。私の担当。
とはいえ1時間弱の中で12名の参加者だと出来ることは限られている。とにかく発言を増やしたいとの趣旨から、テーマを「消費被害・トラブルの気づき」「救済・支援につなげる体制づくり」として各員から発言をもらう。もちろん1つだけでも多いのだけれど、次の回に繋げる目的もあったので、この2点。

数名から、“ここへ来るまでは、自分は場違いな研修に参加したのではと思っていたが、そうではなく自分の周りにも潜在的なニーズはあると気づいた”“今までは支援者自身の気づきを促すに留まっていたが、支援者側も手をこまねいているのでなく支援につなげることが出来ることに気づけた”などの発言があった。以前より、本人も支援者等周囲の人間も課題認識に困難があると考えていたため(註1)、このような発言があったのはとても良かった。やはり講義を通じて消費に関する被害と対処について具体的に示したことにより、これまでは見過ごされていた被害・トラブルの芽が実は自分の現場にもあることを認識できたようだった。

このことは、研修前と後にアンケートを行った中の「貴会・貴組織で支援する対象となる方々について、消費被害・トラブルはどの程度あると考えていますか」の質問項目が、多くの受講者で研修後に多くあるとの認識に変化したことからも確認することが出来る。つまり、研修前よりも研修後の方が、被害・トラブルに対する感度が上がったようであった。(詳しい話はいずれどこかで書きますがblogだからこんなもんで)。

また、法的救済には弁護士等の関与が欠かせないが、これまでは弁護士に相談するには敷居が高いとか、“こんなことを聞いても相談になるのだろうか”との惑いが、弁護士本人によって否定され、相談ルートを提供することができたのも良い成果だった。ただし、まだ知的・発達障害者に対する理解のある弁護士は必ずしも多くなく、その意味では、現場から理解ある支援者・法曹関係者に至る適切なルートが整備されることが示されたように思う。

この研修会はそのルートを作るためのステップでもある。研修会の名称として「基幹的支援者養成」と入っているのは、参加者が先ずルートのハブとなって、より多くの被害・トラブルに気づくと共に必要な支援者・法曹関係者に繋ぐことの出来る人を、愛知県各地域に置きたいと考えからだった(そのため、予め県内のいろんな所から来ていただけるようにした)。
また、弁護士会の方々についてもこの研修会開催を通じて、こういった試みに関心を持ってくれた方も居た。更に今後試行的にでもルートを通じて相談が行われれば、このルートへの信用も形成できるかもしれない。

この基幹的支援者養成については、秋にもう1回を行いたいと考えている。自立支援法の絡みがあるので、10月を過ぎてからか。目的は、知識やノウハウの発展的な提供・学習と、事例に基づく、実践的なルート運用の検討などになるのではと考えている…というか、これから考えようと思ってます。

参加者の関心の高いうちに、メール他を通じた関係づくりや、実際にこのルートを通じた相談を誰かに取り組んでいただきたいと希望している。このへんを夏のうちに進めるつもり。

またいずれ経過報告します。

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註1)昨年度の日弁連主催高齢者・障害者の消費者被害110番では、高齢者からの相談がほとんどで、障害者からは極めて少ない電話だった。しかしこれは被害実数の反映ではなく、相談にまで至らないことが非常に多いことを示していると、私たちは考えていた。

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