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2006/06/02

“体験入所”の打ち合わせ

とある施設(知的入所更生)の方から連絡をいただく。 誰か体験入所をする人は居ないか?

かねてからそのようなことをしている研究者がいることは知っており、たいへん関心があるところだったので、受けさせていただくことにする。とは言っても、今回は学生が入ることになる。
もちろん、楽しく入所して、あー面白かったねで終わらせるための体験と言うことではない。普通は関わらないか、関わったとしても職員として、あるいはボランティアとしてしか入らない入所施設に、利用者の視点で入所し、しかも長期間入ることで、利用者が置かれた環境をどのように感じ、職員との関係を持っているのかを身を以て知ってもらうことが目的となる。その観察結果と感想は、その後の環境改善や職員の利用者支援のあり方検討にフィードバックされる。それを試みてみたいというのが、施設長からの提案であった。

前述の研究者は、長期間入ったり、またいったん入った後再び入って変化を見たりしているらしい。すると利用者から要望のあった事項がどの程度かかって実現するか、またどのような経緯で実現されるか、見えてくるということである。
今回については、5日間をひとつの単位とする。各員は日程をずらして入所し、同日に複数の学生が入ることがないよう調整する。複数人で入るとどうしても互いに馴れ合うだろうし、学生同士という意識が出てしまうのを避けるためである。
5日は短いのではないか、もっと長く入らないととわかんないでしょ、との指摘は出てきそうである。しかし学生も履修すべき集中授業(土日や夏休みなどに行われる)があるために思ったよりもゆったりとした時間が取れない。ということで、今回はこのくらいにしてとにかくやってみることにする。短期入所と同じと考えるならば、7日を単位にすべきだったか。

希望者を募ったところが、4名の学生(男1、女3)から手が上がった。そこで昨日、簡単な挨拶と打ち合わせのために、参加予定者と共にその施設に伺う。お互いに初めてなので、確認すべきこともある。実費負担などはどうするか、持ってくるものは。腸内細菌検査(検便)は。等々。
この話を学生にしたとき、(ほぼ)最初に聞かれたのは、日程のことと共に、“入浴介助は異性が入るか?”だった。確認のために同園に問い合わせたところ、即答で同性介助ですと返事が返ってきた。そんなことは言うまでもないというふうであり、失礼な話だったかもしれない。しかし私も聞いてみないと分からなかった。

昨日の訪問では、更にいろんなことが質問として上がった。職員とどうやって話したらよいか、どうしても伝えなければならないことがあったらどうするか、他の利用者さんとはどう話せばよいか、貴重品の取り扱いは、本を持ってきて読んでも良いか、携帯は、薬は、コンタクトは…。職員さんも熱心に答えてくださる。もちろん事前に聞いておくべきことはある。しかし一部を除いては、これらの質問はしなくても良いものだったとも言える。きつい言い方をすれば、短期入所を利用する人が入るのと同じようにしてもらえればそれでよい、とも言えるからだ。詰まらなかったり、退屈だったりするなら、それを味わってもらえばよいし、わからないことは職員に聞いて、対応を待てばよい。職員の方も言っていたが、毎日違うことが起きる。それをハプニングとして楽しむというか、それなりに応じるしかない。

まだ質問が出そうだったところを、あまり知りすぎては良くないでしょうと、途中で割り込んで止める。事前に聞くべき事項は、それが入所者として当然に知るべきことなのか、それとも今回の体験に辺り特別処遇に関わることなのか、で区別すべきであったかもしれない。このこと自体、学生と話し合って意識化してみるべきであるかもしれない。

行くほうも、受ける方も、それぞれに緊張はあるし、不安もあるし、でも後から話を聞いてみると、それぞれに前向きでもある。
提案をしてくれた施設に感謝しつつ、先ずは新鮮な気持ちで入ってみることにしよう。

学生側には、メモ/ドラフトからノートの作成までについて、ほぼ初めてのこととなるため、少し観察と書き込みの方法について練習をしておくこととする。ノートを書くことについてはやってみないと方法や構えはつかめない。慣れていても最初からトップギアにはならない。

帰りの自動車の中では、往路の倍以上に会話が弾んでいた。

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