「金銭感覚とは生活に関わる身体感覚である」 by 江國氏
市川市での金銭管理ワークショップについて、世田谷区就労障害者生活支援センター長の江國泰介氏をお招きしての勉強会。今週はとにかくやること書くことが多いのですべてを紹介する余裕はないのだが、経験に基づいた面白い話だった。
ラインが同じだなとも思えたので、その場で改めて世田谷まで伺う了解をいただく。こういう消費者被害や金銭管理支援のようなことをやっている人でも、たまにアレと思う人もいる。こうしないとダメなんですという感じで管理ガチガチだったりとか。ただし、わざわざ金銭のことまで前向きに取り組もうという人で、かつ外の空気をたくさん吸ってフットワークの軽い人は、共感できる人が多いように思う。私など口をあんぐりと開けるしかないくらいのすごい人もいるし。
興味深かった話題を2~3。
●190円の切符を買うのに200円を渡したとき。借りた側は190円借りたという認識しかないので、トラブルになってしまうということがあったとか。
●「計算ができないことは別に問題でもないし大切でもない。金銭感覚とは生活に関わる身体感覚である。」
→これは私も同じ。生活に関わる身体感覚というのは良いフレーズ。経験の中でこれは高いなとか、これだと買えなかったなとかの悲しい感覚とか、そういうのが積み重ならないと使えない。そう言う意味では私たちがいわゆるボディーシェマ(body schema...身体の車幅感覚みたいなもんだと思っておいてください)を学び取っていくのと同じ学習プロセスが必要。過去の原稿にも書いたけど、だから失敗経験が必要というのは一面的でもある。失敗も成功も含めて、身の丈を認識できる、そのときのその人にぴったりと合った経験。計算能力というのは、実はその際に認知的な側面の理解を助けるための便利なツールに過ぎないと思うくらいでちょうど良い。あるいは他者との共通言語としての意味合いというか。その人固有の“これなら買える/買って良い”“これは買ったらヤバイ”は自分の感覚として身につけていくものだ。これを江國さんは「金銭感覚のリアリティ」と呼ぶ。
●「自分のスケールを持つ」
→すなわち、例えばチョコボールの値段とか、給与額とか、ビデオの一泊料金とか、よく行く喫茶店の珈琲一杯の値段とか、自分にとって実感できる感覚と言うこと。これをよりどころに、いろいろな物の価値というか、“すっごい高い”とか“そうでもない”とかを増やしていける。スケールが各自固有であるというのは上の項と考え合わせれば了解できるだろう。ここで面白かったのは、そういう自分のスケールを複数持っていましょうねと指摘されたこと。例えば70万円の中古車をチョコボールでは計れない。いや、計ってもいいんだけど、もはやピンと来ない。もともと彼らは大きな数の認識はおそらく困難のように思えるし、それに、そもそも値段の認識は対数的なものなのだ。
A(p)=log(p) みたいな。(A...Acknowledgment, p...price)
いや、何を屁理屈言ってるんだか>私
●「金銭感覚を養うには、現在は危機的状況。プリペイドやクレジット、チャージカードは支払いを簡単にしたという意味ではバリアフリーなツールかもしれないが、値段感覚を実感できない環境になった。」
→これは確かにおっしゃるとおり。
●「打ち出の小槌」になっている親御さん
→困ると(困らなくても)ばっと出てくるお金。常識的対価以上の手伝い賃をくれたりとか。これで自分の身の丈感覚が崩れる。もしくは誤学習する。親子関係を鑑みた場合に即刻排除ともできなかったりするが、しかしいずれは子どもに跳ね返ってくる。
実はこの指摘について、グループホームでの小遣い帳調査などから感じていたところではあったのだけれど、しかしお話を伺いながら思い出したのは自分の子ども時代だった。私も時々年齢不相応のお金を渡されたことがあったかもしれない。いえ、うちは裕福とは正反対の家庭だった。しかし、だからこそ、だったのだと思う。この文章をここまで読むような物好きな方には、私の言い方が理解できるのではないかと思う。
そうそう、そういう人って、時給800円とかが偉く軽く感じるのですよね。
●替え歌
桃太郎の曲で「路上アンケート詐欺のうた」「押し貸し詐欺のうた」
「あの鐘を鳴らすのはあなた」の曲で「その金を払うのはあなた」(詐欺商法のうた)
著作権主張されていらっしゃるだろうから書けないけれど、帰る前、興に乗って歌ってくれた。それが楽しそうで。(^-^)(^-^)(^-^)
彼から学びたいなと思ったのは、必要なことをひとつひとつ言葉にして、それを実際に実践の中でやっているところ、だろうか。
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